外国人監督が日本をモチーフにした作品、「SAYURI」と「拘束のドローイング9」。
全くタイプの違う2作品ですが、日本人である自分が気付かなかった美しさや勝手にこうじゃなきゃいけないと決めつけていた思いに一石を投ずるものとなりました。

貧しさから置屋に売られた千代(大後寿々花)。同じ境遇のおカボ(工藤夕貴)や花街一の芸者である初桃(コン・リー)が暮らす家で過酷な日々を過ごす。全ての希望を失ったときに会長と呼ばれる紳士(渡辺謙)と出会い、彼への再会を夢見て花街一の芸者さゆり(チャン・ツィイー)へと成長していく。そして憧れの会長さんとの再会を果たすが…

この映画は芸者の世界を忠実に描いた記録 ではありません。きっと時代考証に細かい人だと突っ込みどころは満載かと思われます。
英語だったのに突然日本語を使ったり、日本庭園に孔雀は放し飼いにされていないし、自分は気付きませんでしたが着物の合わせが逆だったり…でも、日本のドラマなどでのthank youやmay beなんかも外国人はどんな気分で聞いてるのでしょうか?日本人でも左前に着物を来ちゃう人はいるでしょうになんて思う自分です。
しかしファンタジーとしてみた場合、そんな事どうでも良いのでは?自分は「スワロウテイル」にでてくるイェン・タウン(円都)、英語と日本語がミックスされた台詞をなんとなく思い出していました。

この作品は光の使い方がとても印象的ですね。ほのかな光が障子に映し出す影、妖艶な雰囲気、トーンの表現そして日本家屋や小物達も刺激的でした。
着物にハマっている自分としてはストーリーを追いながらもついつい着物の色合わせや着こなしに眼がいってしまうのですが、字幕版で観たので画面に集中できなかったのが残念。でも、トンビという男物和コートを着ている人を発見した時はチョビット感動しました!
ぽっくりを履いて踊るチャン・ツィイーは素敵〜思わず鳥肌立ちました。

舞台は日本。ある石油精製所で阿波踊りの隊列に先導されたタンクローリーが、伝説の捕鯨船「日新丸」の脇に停まる。タンクの液体は船上にある巨大な鋳型に流し込まれ、船が南極に向けて航行する中、“フィールド・エンブレム”の形を成してゆく。そこへ、遙かかなた別々の地から運ばれた男女ふたりの西洋の客人が辿り着く。身を清め、毛皮の婚礼衣装をまとい、貝の柱が立つ船内の茶室に導かれた男女は、奇妙な器で茶を一服するうちに恋に落ちていく…。

現代アートの鬼才と言われるマシューバーニーの作品であります(といっても自分は存じ上げませんでした)。
この映画?に興味をもったのは雑誌に載っていた写真。毛皮の打ち掛け、口いっぱいに真珠を詰め込んだ海女さん…衝撃的でした。でも、その時は金沢でのみ公開されていたので諦めていたのです…がっ、偶然にも友達から東京で期間限定公開している事を教えてもらいました(ありがと〜!!)。
阿波踊り捕鯨・茶道・着物といった日本の色々な要素が詰め込まれている作品ですが…現代アートです。不思議な作品ですが映像を素直に受け止めてしまうと、日本人であるがゆえに外国人の感じる摩訶不思議な東洋文化的な部分を理解しきれないような気がします。
茶道や婚礼衣装の打掛けをこの映画のような発想で日本人は表現できるのでしょうか?「決まり事」「こうあるべき」なんて意識が邪魔をして多方向から物事を見れなくなっているんだな〜と感じます。
135分の上映時間にセリフはほとんどありません。淡々と映像が流れて行き(ストーリーはちゃんとあります)後半はグロイ場面も登場しますが(前のおばちゃんは目を覆っていましたが、後のおにいちゃんは笑っていました)、音楽と融合し(奥様のビョークです)理解できない部分もありますが見事な映像作品となっています。


なんなんでしょう?両方の作品とも…不思議な気分です。
日本の中にいると日本が見えなくなります。
自分がニュージーランドにいたときに初めて外から日本を見ました。
日本の事を何も知らない自分に驚きました。
帰国して日本文化に興味を持ち、日本の風景をもう一度ゆっくりと眺めてみたいと感じました。
色々な人と日本の事を話しをしてみたいと思いました。
興味深いね日本も。