「さくらん」
写真家:蜷川実花の初監督作品「さくらん」を観てきました。写真家が監督をした映画という事もあり、いろいろな意味で興味津々です。
蜷川実花といえばカラフルな写真というイメージがとても強い。花魁(おいらん)・吉原の世界を彼女の感性で描くとどのような雰囲気になるのだろうかとワクワクしながらスクリ−ンの前に腰を下ろした。
江戸時代の吉原遊郭、8歳で玉菊屋に連れてこられた少女きよ葉(小池彩夢)。脱走を試みるもうまく行かず、花魁の粧ひ(菅野美穂)の巧みな話術(てれんてぐた)により花魁の生き方を教え込まれてゆく。時が経ち吉原の人気者となったきよ葉(土屋アンナ)は恋に落ち、日暮(ひぐらし)と名を改め花魁となり行きてゆくが…
以下ネタバレあり
土屋アンナをはじめクールでありながらも暖かい粧ひ(菅野美穂)、対照的な存在として嫉妬に狂う高尾(木村佳乃)、迫力満点の女将(夏木マリ)などなど俳優達の演技は良かった。全体の雰囲気としては
「SAYURI」+「拘束のドローイング9」×蜷川実花=「さくらん」
かなぁ〜
映像はというと、蜷川実花の写真集に金魚を撮った「LIQUID DREAMS」花を撮った「Acid Bloom」という作品があるが「さくらん」はまさにそんな雰囲気。カラフルで現代風な吉原が見事にスクリーン全体に繰り広げられ、まさに蜷川ワールド全開。ポイントとなる赤+黒に加えて、緑・青といった色使いはさすがですな。暖色から冷色に切り替わり互いの色が混在し、花魁と金魚が対比されていきます。
鑑賞するに美しいビイドロの中の金魚達は華やかな吉原の花魁であり、「川に戻すと3代でフナに戻る」というセリフの中に、自然に戻ると金魚としては行きてゆけない:吉原の花魁としての生き方がうまいこと映し出され、蜷川実花らしさを色以外でも表現していて彼女の才能にリスペクト。
着物好きの自分としてはやはり衣装にも興味津々なわけで…男性陣の縦縞着物を見ては着こなしや帯に注目し、女性陣の着物を見ては柄や色合いに注目し。。。あんなにカラフルな色合いでも違和感を自分はあんまり感じる事なく「和」の世界にとろけ込み、立ち姿での着物の綺麗な曲線にうっとりし…あぁ〜DVD買おう。 1回じゃ隅々まで全部を見きれません!
映画の中で金魚とともにポイントとなるのが「桜」。ちょうど桜の咲き始めた頃という事もあってとっても印象的でして、帰りに見かけた桜を「さくらん」ぽく撮ってみました。
ぽいかな?
- 作者: 蜷川実花
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