odeko2006-06-22

2週間ほど前に日本橋三越へ「三越歌舞伎」を観に行ってきました。
この三越歌舞伎は1946年から始まり今年で60周年、日本橋三越6階にあるためか514席と劇場としては小振りだけれどもステンドグラスの天井など昭和の雰囲気満載です。若手俳優の修行の場としての役割も果たしているそうで、今回の公演も中村獅童をはじめとした若い出演者が中心。
演目は「車引」と「女殺油地獄」なんともおどろおどろしいタイトルです。
今回の注目は油まみれでお吉が与兵衛に殺害されるシーン。果たしてどんなことになるのやら…

  • 車引 配役

 梅王丸/市川猿弥、桜丸/市川春猿
 時平公/坂東薪車、松王丸/市川段治郎

  • あらすじ(ざっくりです)

 神社に参拝する時平の牛車をめぐって、梅王丸、桜丸と松王丸の兄弟が争いをするお話。

「さんま御殿」なんかでおなじみの市川春猿が素敵に桜丸を演じておりました。いや〜テレビの印象とは当然ながら違います、指の先まで所作はとても女性らしい。隣の梅王丸との対比がまた面白いですね。

 河内屋与兵衛/中村獅童、豊嶋屋女房お吉/市川笑三郎
 芸者小菊/市川春猿、豊嶋屋七左衛門/市川段治郎
 小栗八弥/坂東薪車、兄:太兵衛/市川猿弥
 父:徳兵衛/市川寿猿、母:おさわ/坂東竹三郎

  • あらすじ(ざっくりです)

 油商河内屋の次男坊で不良息子の与兵衛は両親の心配をよそに好き勝手に日々を過ごしていた。両親からお金を巻き上げようと企むがついには勘当されてしまう。お金を工面しようと豊嶋屋を訪ねると…両親がこっそり与兵衛へ渡してくれとお金を届けていた。
 その姿に心を動かされる与兵衛だが借金の返済日まで時間がない。両親のくれたお金では足りない、そこでお吉にお金をせびるのだが、主人の留守中には貸せないと断られる。逆上した与兵衛は店内の油樽をなぎ倒し、油まみれになりながらお吉を殺害しお金を奪って逃げていくのだった。

この「女殺油地獄」の河内屋与兵衛役が中村獅童です。微妙な関西弁に始めこそ違和感を感じましたが、中村獅童の迫真の演技にじわじわと引き込まれて行きました。しかし突然キレたり涙したり…複雑な心の動きを演じるのは簡単なことではないでしょうな。
義父であることから与兵衛に強く意見することができない父親の姿や、どんなにバカ息子でも心配する両親の姿は時代が違えど心は一緒です、思わず目頭が熱くなりますよ。
最後の殺害シーン、舞台上は油まみれになり滑って転んでツルツルしながらの演技しておりました。自分は4列目だったのでビニールシートが配られ、さながら「コクーン歌舞伎」のようです。でも…期待値が高過ぎたのかいまいち迫力が感じられなかったな、「コクーン歌舞伎」の大迫力と比べてはいけないのだけど…
とはいえあのスペースでセットを組み演じるのは、想像できないくらい大変なことなんだろな。